テレビのワイドショウなどでは「悪い円安」などと言っているようだが、本当に悪いのだろうか?
私は、円安はよい傾向だと思う。輸出企業が潤えば税収も増える。輸入は減少するのでGDPも上がる。
GDPの内訳は、日本で生活する人々による“消費”と国内の企業が行う“投資”、政府が使った“政府支出”、輸出額から輸入額を差し引いた“貿易収入”からなっており、GDPはそれらの合計額となります。注意すべきなのは、国内で生み出されたものだけが対象となるということ。現在多くの日本企業が海外に工場を持っていますが、海外の工場で生産し、海外向けに販売されたものは、日本のGDPに含まれません。
かつては1ドル360円の時代があった。終戦直後であるが、戦争で疲弊した日本の経済は厳しい状況が続いていた。
そして1ドル180円くらいになったころだろうか高度成長の時代がやってくる。輸出産業の全盛期で日本が世界を動かす勢いであったように思う。ところが、円高とともに徐々に日本は競争力を失っていく。
日本の「TRON」という無料の画期的なOS(TRONプロジェクトの提唱者は坂村健教授(当時助手))が、WindowsCEのインターフェースとTRONを組み合わせたことで、純国産にこだわった通産省が横やりを入れ、そこにマスコミも加わりダメになっていく。
HONDAのロボットアシモにTRONが使われていたら最初から走っていたかもしれない。
そしてイラクによるクエート侵攻によって世界に激震が走り、日本のバブル経済は破綻していく。大きな銀行が幾つも統合されて名前が変わったあの時代である。
その後日本は暗いトンネルの中に入っていく。少し上向きかけたころにリーマンショック、またまた厳しい状況に陥る。小さな銀行は統合されて体力をつけた。
安倍政権でアベノミクスはうまく機能しかけていた。しかし、消費税増税によっていきっきに経済が冷え込む。あのとき消費税増税しなければ経済は回復していったのにと何度思ったことだろう。
コロナによる経済的ダメージの後、世界はインフレになっている。一方の日本は少し輸入品の値段が上がったが、給料は上がらない。つまり、金利を上げる状況にはない。日銀は正解である。ここで金利を上げたら一気に経済が冷え込む。
日本の執るべき政策は?
アメリカは0.75政策金利を上げた。EUやイギリスも上げている中で、スイスですら政策金利を上げている。その中で日本だけ金融緩和している状況は、円安の流れが続くことで輸出企業は利益が増加し、日本のGDPを押し上げる効果がある。つまり日本の一人勝ち状態になるのである。
輸出業者は金利差だけで大きな利益を得られるため税収は増える。増えた税収を中小企業の減税に回せばよい。
日本は、労働者の流動が少ないために賃金が上がらないという意見がある。賃金を上げなければ労働者を雇用できない、このような状況にならないと給料は上がらないのである。日本は長らく終身雇用の時代が続いた。ころころ勤務先を変えるのは、本人に何か問題があるのではないかと考える人が多いように思う。これでは労働者の流動性は生まれない。賃金が上がれば将来の不安が無くなり、消費活動は活発になる。テレビなど見ていると、将来の不安ばかりがクローズアップされすぎてはいないだろうか?
中小企業に賃金を上げさせるには、賃金を上げた中小企業に減税すればよい。今こそチャンスである。
とにかくデフレ脱却しなければ、高度成長の時代のような好景気はやってこない。
少しモノの値段が上がっただけではデフレを脱却したとはとても言えない。この絶好のタイミングでデフレを脱却して日本を再生させなければ未来はない。
岸田首相には、もう一歩踏み込んだ経済へのテコ入れをお願いしたい。世界はハイパーインフレの時代になってきている。だから政策金利を上げてでもインフレを抑制しようとしている。
しかし、日本だけはデフレなのだ。円安の影響とロシアのウクライナ侵攻による小麦などの不足する物だけが値上がりしている。これだけでインフレとは言えない。
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