高血圧の対策は?
50歳以上の3人に1人は血圧が高いと言われる現在ですが、高血圧になる原因の一つが加齢です。高血圧症は生活習慣によって加速されるようです。では、その原因を見てみましょう。
1 塩分の取り過ぎ
塩分(塩化ナトリウム)を取り過ぎると血圧が上昇します。これは、塩化ナトリウムが血液中にたまると、体は水分を多く取り込んで塩化ナトリウム濃度を調整しようとするためです。血液に水分を多く取り込むため、その分血液量が増えて血管に負担がかかり、血圧が上がります。
2 肥満
肥満はあらゆる生活習慣病の原因ですが、高血圧もその一つです。 肥満の人は酸素消費量が増加します。すると、1分間に心臓から全身に送り出される血液の量が増え、血圧が上がります。
3 運動不足
運動不足は血行不良を招きます。すると、体は血液量を増やして血液を全身に届けようとしますが、このとき血管に圧がかかってしまい、高血圧を起こします。
4 飲酒
過度の飲酒や、長い間お酒を飲み続けることは高血圧の原因です。お酒を飲むと、アルコールが酵素によってアセトアルデヒドに変化し、血液中に増加して一時的に血管が拡張し、血圧が下がります。更に飲酒を続けると、アセトアルデヒドが酢酸に変化し、アセトアルデヒドの血中濃度が下がるため、血管が収縮して血圧が上昇してしまうのです。
5 ストレス
ストレスによっても、血圧が一時的に上がってしまいます。 人はストレスを受けると自律神経が乱れます。自律神経には、血圧をコントロールする作用があり、それが乱れることによって血管が収縮し、血圧を上げてしまうのです。
6 更年期
更年期を迎えた女性は、血管を広げる作用のある女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が減ってしまいます。エストロゲンの分泌が減ると血管が狭くなるため、心臓から血液を全身にめぐらせるために、高い圧力をかけて血液を送り出さなければならなくなり、高血圧を起こしやすくなります。
7 喫煙
タバコに含まれるニコチンによって血管が収縮され、血圧が上がり、脈拍も増えてしまいます。喫煙により血管に負担がかかり続けると、動脈硬化の原因にもなります。
その他、糖尿病を患っている人の半数以上は高血圧との報告もあります。
血圧を下げる食べ物や飲み物は?
栄養素別に解説! 血圧を下げるには、3大ミネラルである「カリウム、マグネシウム、カルシウム」を上手に食事に取り入れ、適切なエネルギー摂取をすることが大切です。栄養素別に効果やそれらを含む食べ物をご紹介しましょう。
血圧を下げるために取りたい栄養素
1 カリウム
カリウムは、体内のナトリウムとバランスをとりながら、血圧を調整したり、細胞を正常に保つなどの役割を果たしています。また、ナトリウムを体の外へ排出する作用があるため、血圧を下げる効果があるといわれています。 カリウムを多く含む食べ物には、次のようなものがあります。 野菜:ほうれん草、小松菜、かぼちゃ、アボカドなど 芋類:里芋、さつまいも、じゃがいもなど 豆類:あずき、枝豆、そら豆など 海藻類:昆布、ひじき、わかめなど 果物:バナナ、柿、キウイなど
ただし、カリウムは水に溶けやすい性質ですので、生の状態で食べるか、調理した際の煮汁ごと食べるのがベストです。また、味噌汁の塩分が気になる場合は、カリウムを多く含む野菜を具に使うなどしてみましょう。
※腎臓が悪い方は、カリウムの摂取制限が必要な場合があります。医師と相談してください。
2 マグネシウム
マグネシウムは、カルシウムやリンとともに骨をつくるミネラルです。このマグネシウムはカルシウムとともに、血管を拡張させて血圧を下げる作用があります。 マグネシウムを多く含む食べ物は次の通りです。 野菜:オクラ、ほうれん草、切干大根など ナッツ類:アーモンド、カシューナッツなど(無塩のものを選ぶ) 豆類:大豆、枝豆など 海藻類:あおのり、わかめ、昆布、ひじきなど きのこ類:きくらげ、干し椎茸など
3 カルシウム
カルシウムはほとんどが骨に貯蔵されていますが、一部は血管などの細胞に使われます。カルシウムが不足してしまうと、血管を収縮させ、血圧上昇を招くことに。また、塩分を取り過ぎるとカルシウムが体外に排出されてさらなるカルシウム不足になって、ますます血圧を上げることにつながります。そうならないためにも、意識してカルシウムを食べ物から摂取するよう心掛けましょう。 カルシウムを多く含む食べ物には、次のようなものがあります。 魚介類:干し海老、ししゃも、いわし、しじみなど 野菜:小松菜、チンゲンサイなど 大豆製品:厚揚げ、木綿豆腐、凍り豆腐、納豆など 海藻類:ひじき、わかめなど 乳製品:牛乳、プロセスチーズ、ヨーグルトなど
高血圧の食事療法のポイントは?
高血圧の人は、食生活を見直すことが重要になってきます。ここでは、高血圧の食事療法のポイントを解説しましょう。
1 食塩摂取量を減らす
血圧を上げる大きな原因が塩分の取り過ぎです。そのため、食事をする際には減塩を心掛けてください。一日に摂取する塩分は加工食品に含まれる塩分も含め、6g未満を目安にしましょう。 また、そばやうどん、ラーメンの汁を残したり、調味料の使い方に工夫したりしてみましょう。例えば、昆布やしいたけなどの天然だしのうまみを利用したり、香辛料や酸味をうまく生かしてみましょう。また、魚は煮付けより焼き魚にしてみたり、しょうゆをつけたりかけたりする際には量を少しにしたりするなどして、薄味に慣れる工夫をしてみてください。
2 栄養バランスのよい食事
栄養バランスのよい食事を3食食べるようにすることで、高血圧の予防につながります。 具体的には、「主食(ごはん、パンなど)」「主菜(肉、魚、卵、大豆製品など)」「副菜(野菜、海藻、きのこなど)」を毎食そろえて食べます。このとき、血圧を下げる効果のある「カリウム」、「マグネシウム」、「カルシウム」の含まれた食品を上手に取り入れるのがポイントです。
3 動物性脂肪を取り過ぎない
バターや肉の脂身に含まれる動物性脂肪を多く取り過ぎると、血液中のコレステロールが増える可能性があります。血中コレステロールが増え過ぎると、血液がドロドロになってしまい、血管内に血液をスムーズに流すために、高い圧力が必要となります。血液をサラサラにする作用を有する脂肪酸を多く含む海産物(イワシ、サンマ)などを食事に取り入れるようにしましょう。
4 適正体重を維持
高血圧に肥満は大敵ですから、まずは自分の適正体重を知り、それを維持するように努めましょう。 肥満にならないためにも、糖分の多いお菓子やジュース、高カロリーな揚げ物などを取り過ぎないように気を付けてください。適切なエネルギー摂取を心掛け、また、よくかんでゆっくり食べることで、食べ過ぎを防ぐことができます。
5 アルコールは適量
アルコールは飲み過ぎない、飲み続けないようにして、血圧上昇を抑えましょう。目安となる1日のアルコール摂取量は次の通りです。 男性:20〜30mL(おおよそ日本酒1合、ビール500mL缶1本、酎ハイ350mL缶1本、ウイスキー・ブランデーダブル1杯、ワイン2杯弱のいずれか) 女性:10〜20mL(男性の目安摂取量の半分程度) また、休肝日を設けて、毎日お酒を飲まないようにすることも大切です。
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